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3月11日 朝の一の倉沢出合
いい天気です。ここまでのアプローチの気持ちの重いこと。

滝沢下部が埋まっています。ここが埋まっているかがどうかが登攀の成否が決まります。
100mほどある滝沢下部が雪崩で埋まるのです。すごい雪崩の威力ですよね。
これを利用して、これを駆け上がって3スラに取り付くのですよ!

F4
F4です。ここは凍っています。
ここ以外は、頼りない雪壁をだましだまし登ります。

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ドームに向かって悪い草月を登り終わるところ。
悪いとは考えていたが、・・・。
ここだけは、ガイデングを忘れ、目が三角になったこわいアルパインクライマーに戻っていました。
それにしても悪かった。
Kさんも良く登ってきたな~!。

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国境稜線に抜けたKさん。
この下の雪壁も胸を突く傾斜で、崩した雪が胸に入り体がのけぞってしまう。
そこで、雪壁をできるだけ崩さないように手も足のように使って登ります。
稜線に出た時の嬉しかったこと。
「やったー、お日様だー」と叫んでいました!

冬の一ノ倉沢滝沢第三スラブ登攀報告
                      登攀日:2008.3.11(火)

私にとっての3・11は、今でも忘れられない登攀体験であった。
<59歳冬の谷川岳登攀記録>感想文を少しまとめました。
3月10日(月)ベースプラザで仮眠
3月11日(火)5:30ベースプラザ発→6:30一の倉沢出合→準備→7:15滝沢下部上のデルタ取り付き(途中、滝沢       リッジへ向かってトレースあり)→Y字河原→F1→F4→スラブ→ルンゼ→11:00ドーム下部草着き帯
       150m→ドーム基部バンド→Aルンゼ→稜線→肩の小屋→天神尾根→帰京

平日だが、他1Pと出会いまで前後する。前後した男性2人Pは本谷に入るという。他は先行している滝沢リッジP。星空が出ていて明るい、気温-4~5℃位。風もなく温かく感じる。キーンとした空気の一の倉沢出合いは、静まりかえっていた。「滝沢下部が埋まっていたら行ける、後は雪質だ・・」と言われ準備をしていると、すぐに「いくよ!」と浦山さんの力強い声。三スラへ向かっている。滝沢リッジに入っているPの姿は見えないがコールが聞こえてきた。デルタ状になった滝沢下部を乗越す。一歩々、慎重にアイゼンを蹴りこむ。軟雪は深く、アックスを刺しても肝心な草着き部分に届かない。足を置くと崩れる、踏み替えにまた崩れる。唯一F4だけが氷が出ていてスクリュービレー。でも、回収時はあっけなく抜けてしまった。途中は、細い灌木のランナーだけだ。たまたま聞こえるヘリコプターの音と本谷の雪崩れる音意外は静まり返っている。
ドーム直下までの長い草着き帯一番悪かった。深い軟雪と急斜面、下向きの草、更に岩が出てくる。浦山さんのトレースを外すと腰まで腰まで潜り足場が崩れてしまう、劣悪な登攀だった。腕から丸ごとアックス状態だ。更に、
周囲の雪面全てが風に吹きあがり視界がきかない。チリ雪崩れのように動いても見える。一度、足場が崩れ3~4m
程落ちた。アックスもスッポリ抜けて、もう片方のアックスで必死になって打ち込みながら60mのロープテンションがかかるギリギリの所で止める事が出来た。止まった時の冷や汗と安堵感・・・(今でもその感触は覚えている。)シュルンドがあるドーム基部を回り込んだ場所は、足元がスッポリと切れていて恐ろしい。が、ここで初めてハーケンでのビレーとなる。慰霊プレートを見て2m程せり出した雪尻を懸垂下降、後は雪崩が起きる前にここを抜ける…浦山さんの「ここを一気に駆け上がれば稜線だよ」という言葉に、まだ気を許すなという気持ちを感じとった。その後も同じような腿まで潜る軟雪を何とか這い上がるように稜線へ!。眩いばかりの太陽の温かみを受けて14:00稜線に飛び出した。
満面の笑顔で浦山さんとガッシリ握手を交わす!!。現実感のないまま、その日のうちに下山。冬の三スラは1チャンスという・・・ガイデイングで登攀できた事は今でも信じられない、強烈な登攀だった
                                  (2008.4月7日記録より K&K)